仏像,解説仏像,解説 写真−文化財を収蔵する讃仰殿
文化財を収蔵する讃仰殿  奈良時代の仏教彫刻は、素材の種類も多くあり、金銅仏・乾漆仏・塑像が主流になっていて、一部木彫仏もあります。

 この時代はわが国美術史上最も華やかな時代であります。もちろん、これは唐の文化の影響が大きいことはいうまでもありません。初期の典型的な一木の木彫仏が、大安寺に伝わる九体の木彫群であります。

 次の平安時代に入ると寄せ木の仏像がその主流を占め、やがて木彫全盛の時代に入っていきます。

 大安寺の九体の木彫仏は、奈良時代から平安時代に移ろうとする過渡的な作品といえるもので、そこにこの仏像群の高い価値が認められます。信仰上からみても、奈良時代の末期から密教的な仏像が多く造立されるようになり、次の平安時代には全盛期を迎えます。奈良時代の初期に唐より帰朝して大安寺に入った道慈律師らが既に密教を伝えており、その系譜の中で勤操や空海の登場があることを考えると、九体の密教仏の存在がうなづけます。

 大安寺の木彫仏九体は数々の罹災を蒙りながら伝えられた貴重な存在で、全部が重要文化財の指定を受けています。これらの仏像群はいずれも天平時代末の作品ですが、全部が一連の作とみることはできません。少しずつ作の年代差が感ぜられます。したがってそれぞれ別の堂に祀られていたのかもしれません。仏師にもいくらか異なった作風が認められます。

 素材は榧材(かや)が多く、いずれも頭部から台座にいたるまで一木彫です。胸飾りや瓔珞などの装身具は、すべて刻み出したもので貼りつけたものではありません。

 これらの木彫仏は、全体として表現に誇張したところがなく、極めて自然な美しさを見せています。体躯は肉付きよく堂々としています。九体の仏像は、四天王像を除き、他は全部観音像で、聖観音をはじめ、いわゆる変化観音の古式の像容をみせています。

 このように大安寺一木彫の尊像は、部分的には後補もあるが、全体として天平時代末期の特異な存在として、世に大安寺派とか大安寺様式と呼ばれています。

 大安寺には、重要文化財指定の九体の仏像のほか、いろいろな文化財があります。彫像では、弘法大師坐像二体、修行大師像、阿弥陀如来坐像、不動明王立像、虚空蔵菩薩坐像二体、弁財天像、道慈律師像、勤操大徳坐像などがあります。

 また、天平十九年に朝廷に出された「大安寺伽藍縁起并流記資材帳」(重要文化財・文化庁蔵)、住侶の名を示した「大安寺住侶記」なども貴重な資料として保存されています。

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南都,大安寺