大安寺について

歴史を知る

楊柳観音国重要文化財 (奈良時代) 一木造 像高168.5cm

観世音菩薩は、三十三身に変化し衆生を済度するといわれていますが、その表現される像容の種類も多いと言えます。
楊柳観音もその一例で、手に柳の枝を執るので、こう呼ばれています。おそらく柳葉が風になびくように衆生の願いを聞きたまうということであると思われます。
又、楊枝など口内を清浄にすることから、病魔の侵入を防ぎ健康を保つ。口業を清浄にする等の願いが込められてきました。
この観音様は画像に描かれる例が多く、女性的な優しい表現がなされます。
大安寺の楊柳観音様は古い木彫像として極めて珍しい存在で、台座ともに一木彫です。つり上がった大きい眼、かっと開いた口、そこには舌と歯が表され、内面をじっと見つめ、静かな怒りをたたえたような忿怒の形相です。
少し変わっているのは、胸と腹部の間に、下裳を締めているようにもう一つの石帯が刻み出されていることです。裳にはかすかに彩色文様の痕跡が見られます。下顎を引き、肩から胸にかけて強い張りを持たせ上体を伸ばして充実した身の構えを示した見事な姿です。
この楊柳観音像は、天平彫刻の面影が強く偲ばれて秀逸です。とくに忿怒相の観音像として注目すべき像であり、いつから楊柳観音と呼ばれるようになったのかは定かではありません。

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