大安寺について
聖観音立像国重要文化財 (奈良時代) 一木造 像高176cm
顕密両経典ともに聖観音を説き、いわゆる変化観音とは区別しています。正観音ともいい、一般に観音といえばこの観音を指します。
世の音を観ずるので観世音。世の音とは一切衆生の心の声ということでしょう。しかも自在に観て済度するということで観自在ともいわれます。仏教の慈悲を表す代表格の仏様です。
大安寺の聖観音様は、榧の一材から頭部より台座まで彫り出された一木彫です。お顔はやや下つぼまりになっていて、静かな温容であり、いかにも聖観音と呼ぶのにふさわしい静謐な姿です。肩巾の広い充実した体容はどっしりとした安心感を与えてもくれます。
左手の持物はなくなっていますが、右手は垂れて与願印を結びます。胸部にニ連の胸飾りは連珠と瓔珞が見事にあらわされ、唐代長安の貴婦人が着飾った様式を伝えているともいわれます。